福祉とのポジティブな出会いを増やしたい
―楽しく働いている人がもっと増えたら、福祉業界全体の人手不足にも良い影響を与えることができますよね。
そこもかなり狙っていまして。どこも人材不足の時代ですけど、福祉業界なんて本当に来ないんですよ。
―そうなんですね。
今改めてアート部門に力を入れているのは、福祉のポジティブなイメージを広めたいからという理由もあるんです。障がいが重たい方々ばかりなので、絵にならないような抽象的な作品もたくさんあるんですけど、実際めちゃくちゃ良い作品なんですよ。「良いと思うのはスタッフだからフィルターがかかっちゃうのかな」って思っていたんですけど、アートの展示会や、栄の愛知芸術文化センターの企画展とかに出してみると、評価してくださる方がたくさんいるんですね。
―可愛くて愛らしい作品も多いですよね。
今度12月にも金山の「ブラジルコーヒー」という喫茶店で、イベントを主催する予定で、職業関係なく、一般の方の目に触れる機会をどんどん作って、福祉の面白さとか彼らのアートの魅力を伝えています。結果的にそれが人材確保にも繋がると思っているんですけど、最近まさに芸術大学の子が就職したいって来てくれて、凄く嬉しかったです。

―それは嬉しいですね!
いろんなジャンルの人にもっと興味を持ってほしいなと思います。もちろん利用者さんにとっての表現の場所をもっと増やしたいという側面もあります。そういうイベントをやっている僕たちのような施設でさえ、まだまだ閉鎖的だと思うんですよ。徒歩2、3分のところに、福祉を学んでいる大学があるんですけど、そこに通う大学生たちでさえ「べにしだの家」がどういう施設で、どこにあるのかも知らない。
―一般人の目に触れる機会も圧倒的に少ないですよね。
まだまだ広げられていないことが課題です。インスタグラムも、当時は結構壁があって、利用者さんたちの顔を世間に晒すっていうことを、ご家族も嫌がっていましたし、うちのベテランの職員たちからも、「いや、そんなんダメじゃない?馬鹿にされたらどうすんの?」みたいな声もあったんですけど。
―インスタとか、新しいことをやる時は、反発もありますよね。
僕は2、3年前から、「出していかなきゃいけない時代ですよ。隠す必要ないですよね、もっと誇れる存在ですよね」ってみんなに言い続けて。「利用者さんたちは変なことをするような怖い人達じゃないし、めちゃめちゃ面白くて素直だし、僕たちとなんら変わりないよっていうことをもっともっと知ってもらわないと世の中変わらないんじゃないですかね?」みたいなことを、生意気ながらも結構上の人たちに訴えて少しずつ理解してもらって。
―少しずつ口説いていったんですね。
投稿を続けていると、やっぱり「べにしだの家」の認知度もあがってきましたし、絵をみて「こんな素敵な絵を描く人と会ってみたい」って言ってくれる一般の方が結構いらっしゃるんですね。そういうポジティブな出会いのきっかけがすごくいいなって思います。
―自分と会いたいって言ってくれるのは、誰でも嬉しいですよね。
知らない人といきなり会うのは苦手な利用者さんもいるんですけど、絵を好きになってくれて認めてくれている状態で出会うので、「素敵な絵でしたよ」って、良い距離感で出会えることが多くて。そういった意味でも、アート活動だったり、イベントだったり、インスタでの発信がすごくいい循環になっていると思います。
―そういった行動するにはかなりのエネルギーが必要ですよね。仲畑さんの社会全体に対する熱い気持ちも感じます。
福祉の研修でも学ぶんですけど、自殺率が高かったりして、生きづらい世の中だと言われていますよね。利用者さんにとっても、スタッフにとっても、世の中全員の人にとっての“居場所づくり”をすることが夢の一つです。繰り返しになりますが、「自分がここにいていいんだな」とか、「この場所だったら参加できるな」とか、そういう感覚をもっと世の中の人に広めたいっていう気持ちはあります。
―もっと居心地の良い場所を増やしたいという思いからなんですね。
そうですね。自分も苦しかった時期があって、世の中に必要とされていないって、自分をマイナスに捉えてふさぎこんでいた時期があったから。でも、居場所を作ってくれる人が必ずいるって、本気で思っています。
―自分の居場所があるだけで、すごく安心できますよね。
利用者さんたちに出会ったら救われる人、世の中に絶対たくさんいるだろうなと思っているので、この人たちをもっと外に出していかないともったいないっていう気持ちが大きいです。だから、絵でもイベントでも何でもいいから繋がってほしい。利用者さんたちにも、外と繋がって面白いことをもっと体験してほしいですし、世の中の人には、利用者さんたちと出会うと元気が出るし、自分がそのままでいていいって感じてほしい。
―わ~、その活動もっと広まってほしい~!
そういってもらえると嬉しいです。色々迷いながらですけどね。それをどう伝えていくのかも課題ですし。
―SNSを見れば色々なイベントがあるのは分かりますが、そんな熱い想いを持っているっていうところまで、伝えるのはなかなか難しいですよね。
だから、こういうインタビューはありがたいですね。なかなかスタッフや後輩たちとも熱く語れる時間もなくて…。
―そこまで共感してもらうには時間が必要かもしれないですね。今、ウェルビーイング(well being)*という言葉がよく言われていますけど、まさにウェルビーイングで、利用者さんも、ご家族も、職員の皆さんも、みんなで笑いたいという感じがすごく伝わってきます。安心できる場所っていうのは、人類の基礎だと思っていて、日本人全員に聞いてほしいです(笑)。(なる美)*ウェルビーイング:個人や社会が、満たされた状態。
小学校時代に別々の教室だったように、障がい者って本当にカテゴリー分けされている世の中で、そのまま大人になってるから、余計馴染めなくなってるんだろうなと思うんです。怪我とかのことを考えたら、お互いを守るためには仕方なかったのかなとか、気持ちは分からなくもないんですけど…。
―保護者の意見とかもありますしね。
うちの施設に、ちょっと関わりに悩むような女性の利用者さんがいるんですけど、「LIVE YOU」のイベントに来てくれた、小学2年生ぐらいの女の子が「なんかもうおばちゃん面倒くさいね~」とか、めっちゃ普通に言ってて(笑)。
―す…素直!(笑)
そう!まっすぐなんですよ。「めっちゃいいな」と思って。そうすると、その利用者さんも「なになに~?そんなの言わんでよ~」みたいに、職員にもそんな柔らかい感じで言うような人じゃないのに、小学生の女の子だからか、めちゃめちゃ自然に溶け込んでいるんですね。
―利用者さんも変わるんですね。素敵です!
その子も「いいよ、おばちゃんめんどくさいけど、手つないであげる!」とか言ってて。もう泣きそうになる!「こけちゃいかんよ」って子どもたちなりにサポートしてくれていたり。子ども達ってそういう可能性を持ってるなと思っています。
―ほんとですね~!
そういう関わりを作ろうとしているんですけど、そういう場面を見ていると、無理にひっつけなくてもいいのかなとも思ったり。
―自然に心の繋がりが生まれるのが良いですよね。
だから、機会がないんだなって、やっぱりその瞬間思ったんですよ。でも「LIVE YOU」も年に2回ぐらいしかやれていなくて。普段の仕事をやりながらなので、スタッフたちに「大変だ」と言われながらやるんですよ(笑)。やる意味をどこまで伝えられているか分からないんですけど、普段現場の仕事をやっているスタッフにとっては、プラスの仕事にはなるので。
―そうですよね。施設としては365日休みなく開いているんですか?
365日ですね。平日は60名ぐらいの利用者さんがいるので、スタッフもたくさんいます。土日は、半分ぐらいのご家族の方がおうちに連れて帰ってくれているんですよ。昔から施設の考え方として大事にしていた部分ではあるんですけど、今は親御さんももう80代の方も多いので、「無理して連れて帰らなくていいですよ」ってお伝えしています。
―体力も使うし、80代ともなると大変ですよね。
でも、週に1回くらいは実家に連れて帰ってきて、美味しいものを食べさせてあげたいっていうご家族の思いがあるので、そこは大事にしています。もちろん給食は出していますけど、やっぱり贅沢なものはなかなか出せないので。ただ、施設で過ごす方も半分ぐらいはいらっしゃるので、施設としての休みはないですね。
―そんな中での、イベント準備は確かに大変ですね。
だから、イベントは出来るだけ自分たちだけでやるようにしたりはしています。一昨年から立候補制にして、イベント係をやりたい人は自分の意思でやってもらえるようにしました。
―楽しめる職員さんが運営をしてくれるのが一番いいですよね。
今は仕事に全力が楽しい。思い描く福祉の未来へ。
―今回も7つの言葉をいただいています。
仲畑さんを表す7つの言葉
・酒
・ツッコミ
・先見の明
・永遠の少年
・責任感がある
・やるとなったらゆずらない
・常にオン
―これはどなたからいただいていますか?
奥さんと、職場で「アトリエ活動」というのをやっているんですけど、その先生と、職場の後輩の、3人から聞きました。
―えーっと、まず、目につくのが「酒」!(笑)
お酒はみんな共通して言っていましたね(笑)。そんなに強くはないんですけどね。お酒を交えながら関わる時間が好きなのかもしれない。自分を解放できるというか。最近はそんなに飲みには行けてなくて、1人で飲むぐらいですけどね。
―「ツッコミ」というのは?
ツッコミ担当ですね。担当、っておかしいけど(笑)。どっちかというと、ボケるタイプではないです。誰かのボケは、拾いたくなっちゃいますね。「誰も独りにさせたくない」っていう気持ちがあるからかもしれない(笑)。もちろん、1人になりたい人もいますけどね。そういうのは大事にしたいですね。
―そう考えると、1人になりたい利用者さんとの関わり方、難しそうですね。
場面と状況によりますし、難しいですね。自閉症の方って、「自分を閉じてしまう」っていう文字通り、昔は1人で過ごすのが好きな人って特徴的に言われていたんですけど、全然そうじゃないなって思います。
―そうなんですね。言葉のイメージが先行してしまいますね。
1人ひとり自分のお部屋があって、もちろん1人で部屋で過ごされる方もいますけど、結構みんなリビングにいることが多いんです。ソファーも2つぐらいしかないから、絡み合いながらみんなで寝ていたりしていて、人の輪の中にいることって、やっぱり心地いいんだろうなって思いますね。
―障がいをもっていても、そこは同じですよね。
“人は人の中で安心感を覚えていくんだな”っていうことを、この仕事していて思います。

―「先見の明」は、どなたからのお言葉ですか?
後輩が言ってくれました。そんな大層なことはできてないと思うんですけど、人材確保のためにイベントをやり続けた方がいいとか、活動を広げた方が世の中に絶対届くだろうとかっていう考えですね。これから10年、20年、30年先の施設の運営のことを考えると、福祉ジャンル以外の芸術ジャンルの大学生とかを取り込むことは大事だよねっていう話なんかをしていました。そういう思いが後輩に届いて、そういう風に感じてくれたのは、すごく嬉しかったです。
―気づいても、実際にはなかなか行動に移せない人が多いと思います。
そうですね。行動化することは意識しました。なんとなく思っていても形にしていなかったので、そこは一番頑張ったところかもしれないですね。
―そういうところが、「責任感がある」とか、「やるとなったら譲らない」っていう言葉にも表れている気がします。譲らないんですか?(笑)
自分の中では結構譲っていると思っているんですけど、それは奥さんが言ったんですよ(笑)。自分の中では、相手に合わせてたりと、職場ではやっているつもりですが、奥さんがそう思うということは、そういうところもあるんでしょうね。
―奥様からの言葉、何か言いたいことが隠れていそうな…?(笑)
そう。メッセージがめっちゃあるんです!(笑)
―「常にオン」も奥様ですか?
そうなんです。
―お家でオフする時間、ないんですか?
家でゆっくりするオフの日も全然ありますけどね。確かに家でも仕事をやっていたりはしますし、インプットとアウトプットで言うと、休日の日こそインプットする機会かなと思っているので、それこそ他の事業所がやっているアート展示会に行ってみたりとか、他の企業の方と繋がりに行ったりとかするので、ポジティブな意味で言ってくれているんだと思います。
―奥様からすると、休んでいるように感じないということですね。女性目線で勝手なこと言いますが、これ、「私との時間をもうちょっと増やしてほしい」って意味とも言えるかも?(笑)
(笑)たぶん、あるかもです…。それは僕の反省点ですね。奥さんもアートの展示会は好きなので、楽しんで一緒に行ってくれることもあります。
―キャンプはお2人の趣味なんですか?
僕の趣味ですね。今は「キャンプ行きたい」って奥さんからから言ってくれるので、奥さんも好きになってくれていると思います。奥さんは元々音楽フェスが好きで、それも一緒に行って楽しんでいます。キャンプフェスというのもあって、テントを立てて泊まりつつ、好きなタイミングで音楽を聴きに行くみたいなのも、めちゃくちゃ楽しいです。それは年に1、2回は絶対に行くようにしてますね。

―そんなのあるんですね!楽しそう!現在は所長補佐とのことですが、お休み自体はちゃんと取れているんですか?
取れています。子どもの施設の時は、休みが少なかったんですけど、今の施設になってからは取れてますね。

―年齢的にも、やれることが増えてきて楽しいんだろうなって印象を受けます。
そうなんです。今一番動けるし、やりたいこともはっきりしてるので、ここで止まりたくないんです。奥さんも同じ法人の職員なので、よく理解はしてくれているんですが、スタッフからLINEで「相談させてください」とか連絡が来ると、やっぱりしっかり応えたいなと思って家でも対応してしまうので、家事とかも満足にはやれていないかもしれませんね。反省してます…。
―今、人生のバランス的に、仕事の割合が大きい時期なのかもしれないですね。
そうなんです。今やっと、ここまで来た感じが大きいので、力を緩めたくないんです。
―「LIVE YOU」、チームワーク、スタッフの精神面、人材確保等、結構重要な柱がたくさん立っているという気がしていますが、今後特に力を入れたいことは?
根本的には全員にとっての居場所づくりですね。イベントをやって、地域の人達にとっても、スタッフにとっても、利用者さんにとっても「楽しいよね」っていう場所をいっぱい増やしたいし、アートの表現活動とかで、もっと世の中に知ってもらって、いろんな人と繋がりを作ることも、新たな居場所を増やすことになるし、全部が繋がっているんです。
―全員にとっての居場所づくりをするためにやっていることが、全ての問題を解決することに繋がるんですね。
職員達も一緒に展示会に行って、「利用者さんの作品、めっちゃいいですね」って言われる体験をどんどんして欲しいなって思っています。そうするとこの仕事の楽しさって、グンと上がると思うんですよね。
―仲畑さんがしてきた経験をスタッフにも共有したいんですね。
やっぱり毎日生活支援という仕事ばかりやっていると、「またトイレ?」とか、「ご飯こぼしてるで」ってネガティブに捉えてしまうこともあるけれど、「でもやっぱり利用者さんたちって素敵なとこがあるよね」っていう気持ちに立ち返れるのは、表現活動とかイベントで生き生きしている利用者さんの姿を見た時なんですよね。福祉分野じゃない人たちが利用者さんのことをポジティブに見てくれると、やっぱりスタッフたちも嬉しいと思うんです。
―障がいがあってもなくても、生き生きしている姿は素敵ですよね。
どのスタッフも、心から利用者さんたちのことを好きでいてくれてると思うので、みんなの気持ちが立ち返れる瞬間をいかに作れるかということをいつも考えています。もっと良い手段があればどんどんやっていきたいです。ポパイの山口光さんとかは、利用者さんを連れて一緒にSUPをやったり、キックベースやサッカーとか、そんなことまで一緒にやるんだっていう活動をたくさんしているので、本当に尊敬しています。
―光さん、カリスマ性があって素敵な方ですよね。
光さんとの初めての電話で、「アートのことを教えてください」って聞いただけなんですけど、「私が今やってるようなことを、あなたもいつかやっていくのよ!」って言われたんです(笑)。最初本当に意味が分からなかったんです。どういうことやろって(笑)。
―初めての電話で(笑)!光さんらしい…!
*山口光さんのインタビュー記事はこちら
全然意味わからなかったんですけど、それから2年くらい経って、直接話をさせていただいたりして、段々分かってきました。「いろんな人の活動の可能性をもっと広げていけるように企画、運営していく必要があるよ」って言ってくれていたのかなと思います。やっと去年ぐらいから自分も動けるようになってきたんで、自分の描いている未来を信じてもっとやっていきたいなと思っています。
―仲畑さんが活動を広げることで、利用者さんだけではなく、スタッフさんや地域の人々等、全員の可能性が広がりますね。
良い意味で僕らは、利用者さんのことを“障がい者”としては見ていないんですね。僕らと違う点なんてないっていう感覚なんです。利用者さんたちは、僕ができないことをすごく早くできたりもしますし、サヴァン症候群といって、100年先の日付と曜日がわかる方もいます。僕なんかよりもきれいに掃除できる人もいますし、どこかがちょっと苦手なだけで、得意不得意なんて僕らもありますし、本当に違いがないと思っています。
―単純にこの世の中ではそういった特徴が、少数派だったり、不得意が目立ってしまっていたりするだけですね。
一緒に支え合っている、家族のような存在だなって思います。苦手なところは他の人がカバーして、得意なことをやってもらったり、単純に日々助け合っているだけなんですよね。
―障がいを持っているからと言って、変に構えなくてもいいんですよね。
そう、知り合えていないだけなんです。知らない同士だと、障がいを持っていなくても緊張したり、どういう人なのか探り合ったりすると思うんですけど、それだけですね。そこに時間がかかる人たちかもしれないですけど、いや、逆に早いのかな。敏感に察知しますね。
―こちらが変に身構えてしまっていることを、障がい者の方は敏感に察知して、私たちが行動するよりも早く、障がい者の方が態度に表しちゃうことがあるのでしょうか?
すごくあります。まさにですね。大学から実習生とかも来てくれるんですけど、どうしても最初は緊張してるので、やっぱり緊張し合っちゃってうまくいかないですね。
―利用者さんたちは、本当にこちらの鏡なんですね。

―今、所長補佐というお立場で、今後所長になっていかれるんだと思いますが、長として求められていることはなんだと思いますが?
自分の中で大事にしていかなきゃいけないのが、1人ひとりの声をちゃんと聴くことかなと思っています。特に福祉の仕事って生活を共にするので、今まで育ってきた環境の価値観がすごく出る仕事だと思うんですよ。例えば、ご飯に関していうと、40、50代より上のスタッフたちは、「嫌いでも食べないかん、栄養つけなきゃ」とか言って食べさせるんですけど、今の30代より下ぐらいのスタッフだと、「残してもいいですよね」って言ったりするんです。
―昔は、給食時間が終わっても、残って食べさせられたりしましたよね。
例えば、利用者さんがちょっといたずらしちゃった時に、しっかり叱るスタッフもいれば、許すスタッフもいるんですね。そうなると、意見が対立してチームに亀裂が生まれちゃうんです。でも、施設としては方向性を合わせないと、利用者さんが、食べなきゃいけないのか、残しても良いのか分かんなくなって困ってしまうので、毎月会議も頻繁にしてすり合わせをしています。
―自分の気持ちとは違うことを、ルールとしては言わなきゃいけないのは結構辛いですよね。
そうなんです。施設として方向性が決まった後、方向性から外れたスタッフの気持ちが浮いてきちゃうんですね。そこをちゃんと聴ける人になりたいなって思っています。子ども施設の時の、尊敬している施設長からは、「聴くことが一番大事だよ」って言われて。当時は表面的な捉え方しかしてなくて、よくわからなかったんですけど、少しずつわかってきて、心の声を聴いていく必要があるんだなと思います。
―決まったから仕方ないということで片づけない、ということですね。
自分自身、今もそこが不十分で、たまにスタッフが泣いて相談しにきたりとか、怒ってきたりとか、今の立場でも結構言われることがあって。叶う、叶わないは関係なしに、「ちゃんと声は届いていますよ」って、こっちも伝えていくし、聴くという姿勢を見せ続けることが一番大事かなと思っています。施設の運営としては、そこを外したら全部が崩れちゃうと思いますし、逆に、そこがしっかりできていれば、ちょっとずつでも前へ進んでいけるのかなと思っています。
―1人ひとりの声を聴くことは、1人ひとりの意見を受け止めるということですよね。
生活の価値観が違うって難しいです。お風呂とかでもどこまで洗うのかとか、何時まで起きててもいいのかとか。「大人だし、0時まで起きててもいいんちゃう?」、「いやいや、23時までには寝ないと」みたいなかんじで、本当に細かい話が色々あります。
―それは大変ですね~。「熱がある時にお風呂に入っちゃダメ」とかね。
そう、それがいたるところで起きるので、悩むことの連続です。でも、1人ひとりは正義なんですよ。本当に生まれてきた環境だったり、教育だったり、しつけとかが全部が出るので、難しいですね。
立ちはだかる壁は、高ければ高い方がいい。
―仲畑さんは、人生って何だと思いますか?
別にかっこつけている訳ではないし、よくある言葉かもしれないけど、「終わりなき旅」だなって思います。僕ミスチルが好きなんですけど、ターニングポイントとか、本当に自分が仕事でうまくいかなかった時とか、失敗しちゃったり落ち込んでいる時とかに必ず聞くようにしているのが、ミスチルの「終わりなき旅」という曲なんです。大事にしたいから、逆にそれ以外は聞かないようにしています。

―すごく思い入れのある曲なんですね。
「高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんだ」っていう歌詞があるんですけど、今辛い時期かもしれないけど、神様が与えてくれた試練だと、ポジティブに捉えるようにしていて。失敗というものは世の中にないと思っていて。そこでやめちゃったら失敗なんですけど、やり続けたら、それは1個の材料になるし、じゃあ次どう動いたらいいんだろうっていうところを突き詰めていけたら、きっといつかは自分が望む形には近づくだろうなって思ってるんで、まさに「終わりなき旅」だと思っています。
―自分が望む形になるまで、挑戦し続けるんですね!
挑戦も続けたいですし、自分1人というよりは、みんなで乗り越えたい壁というイメージですね。
―逆に言うと、壁があって当たり前?
そんな感じがしています。すんなりいくって思っていないかもしれないですね。すんなりといくようなことは誰にでもできるし、誰もやってないことをやってみたいから、壁があって当たり前だと思うのかもしれないです。
―かっこいいです!
あとは、1人で乗り越えるのではなく、みんなで乗り越えていきたい気持ちの方が強いですね。せめて、出会った人たち、自分が認識してる人たちと一緒に前へ進んでいきたいなっていう思いがすごくあります。
―その時々の壁を、目の前にいる仲間たちと共に乗り越えていくんですね。

今回のインタビューでは、福祉業界のお仕事や障がいを持った方たちの素敵な魅力をお伺いできて、素の自分でいることの大切さや、認めてもらうことの喜び、人との繋がりについて深く考えさせられました。仲畑さんは、ご自身が思い悩んだ経験もしっかり糧にされていて、誠実で本当に思いやりに溢れた方だなと感じました。その強い信念と行動力で、きっとこれからの福祉業界をポジティブに引っ張っていってくださると思うので、今後の更なるご活躍が本当に楽しみです!本日は、ありがとうございました。

