「結婚式をしませんか?」遠距離中の提案
―ここから、なる美さんを表す7つの言葉について、掘り下げたいと思います。
「多興味」「とりあえずやってみたい」、「ゆるく楽しく」、「責任感」、「きちんとしたい」、「ちゃんとしてそうでちゃんとしてない」、「流行よりもこだわり」とのことですが・・・自分として、認識しているところはありますか?
全部認識してますよ!(笑)。ありすぎるくらい多興味だし。とりあえずやってみるけど、その中でもすごく考えることがある、みたいな感じ。全部しっくりきますね。
―“大胆だけど、緻密”なんて印象もありますね。実際にこの言葉をもらった方からは、どんな人だと言われることが多いですか?
えー、どうだろう。特にないかな(笑)。この言葉は夫にもらいましたが、めんどくさがりとか、そんなことを言われたりします(笑)。家の中ではあんまり動きたくないんだよね。テキパキ子育てをしていそうなイメージって言われることが多いですし、しなきゃいけない時もあるんですけど。
―そうなんですね!意外です(笑)。
そうだよね。自分でも意外です(笑)。
ー色々なことをやりたいタイプのなる美さんですが、その中で“結婚”という道を選択したのは、なぜですか?
うーん。あのね、結婚式が先に決まったの(笑)。
ーえ?式ですか?(笑)
決まったというか、仲間と決めたって感じで。「aichikaraが5周年になるから、みんなで海外でも行こうね」という話になって、「じゃあ、なる美の結婚式そこでやればいいんじゃない?」と代表が言って(笑)。それで私も「じゃあ場所は私が決めるね!」と。夫には、プロポーズをしてもらう前に、自分から「結婚式をしませんか」って話したんです。aichikaraは夏と冬にキャンプ事業で忙しいから、「みんなで行けるとしたら9月しかないな」と思って、準備のことも考えたら「早く言わないと!」って感じでした。
―なんてなる美さんらしい・・・!(笑)その前に、結婚の話はあったんですか?
「考えてるよ」みたいな話は、少しありましたね。私が先に結婚式の話をしたけど、夫は、順番通りにプロポーズも親との顔合わせもしてくれました。籍を入れた当時は遠距離恋愛をしていたから、結婚のタイミングではなかったのかもしれないけど、その後に夫の転職で鈴鹿市に引っ越すことが決まり、入籍から数ヶ月後には新婚生活をスタートしました。
ー遠距離だったんですね!結婚式は、結局どこでしたんですか?
結婚式は、フィリピンのセブ島でして、30人くらいの家族や友人に来ていただきました。私たちが出会うきっかけとなった友人には「彼女の分の渡航費と宿泊費は出すから、自分の分は出してね」と言って来てもらいました(笑)。そしたら結果、向こうでプロポーズしたの!さらにもう1組プロポーズをしたカップルがいて、みんな本当に素敵なことをしてくれました!
―なる美さんが、恋のキューピッドですね!

人生のハンドルを子どもたちに握られている気分
―お子さんが産まれて、考え方が変化した部分はありますか?
考え方はね、変化しまくっていると思います。どんな風にだろう・・・たぶん、170度くらい。
ーほぼほぼですね(笑)!
うん、それくらい、色々変わりました。もちろん生活はガラッと変わるし、価値観も変わらざるを得ない。
―価値観はどう変わってきましたか?
まず、これまで自分のためにあった24時間が、子どものための時間になるんですよね。トイレに行きたくても、泣いてたら抱っこすることを優先するとか。お腹が空いて「よし、今から食べるぞ!」と思ってパンを焼いてコーヒーを入れても、その直後に泣き始めたら、おっぱいしたりミルクをあげたり、おむつを変えたりと「結局1時間経過してるじゃん!」なんてこともあります。
ーおお・・・。
人生のハンドルを子ども達に握られている気分(笑)。
―そこまで自由度が低いなんて・・・。なる美さん、大丈夫ですか・・・?
全然大丈夫じゃないよ(笑)!大丈夫じゃないけれど、「これが母親なんだ」って思うしかなくて(笑)。この生活スタイルが体に染み付くまで時間が必要でした。たぶん1年くらいはかかったと思います。
―1年!ストレスの多い1年間でしたね。
うん、とっても多かった。「自分の基礎的なものを根底から覆さないとやっていけないな」と思いました。部屋のレイアウトや、買い物の優先順位ひとつとってもそうなんですよね。「自分よりも子どもを」って、言うことは簡単なんですけど、慣れるには本当に時間がかかりました。ただ、ストレスばかりじゃなくって、もちろんその中で楽しいことも嬉しいことも、いっぱいありました。
―どうやって変化に慣れていきましたか?
とにかく自分で頑張るしかないですね。友だちと電話したりして共有することはありましたけど、同じ状況の人達で話していても「大変だね」で終わってしまう(笑)。産まれてすぐは夜の授乳が頻回で睡眠不足だから、特に自分の体調を気遣うようにしていました。
ー自分の体調、大事ですよね。
うん。自分の体調を優先させたいけど、最優先にできないと苦しいよね。あと、専業主婦という立場上、食材や化粧品も、本当は良いものを使いたいけれど、「自分には収入がないから」と思って優先順位が変わることも経験しました。自分の時間やキャリア、買い物や休憩時間の過ごし方などが変わり、「全てが子どもありきの選択になってくるなぁ」って。

日本中に孤児がいるのに、子どもを産むこと”自分のためだな”
―それでも子どもを産んだ経験は、自分にとってプラスだと思いますか?
うーん・・・正直、子どもを産むってことは“親のエゴ”だなと思います。子どもが生きていくこの先100年の人生のことを考えたら、災害が増えて環境はどんどん悪くなっていくし、産まれたからといって、決して楽しいことばかりが待ち受けているわけでもない。日本中に約3万人の孤児がいるのに、「夫との子どもが欲しい」という理由で子どもを産むって、「自分のためだな」と思ってしまうんです。
*2018年2月の調査で里親に引き取られた児童を除く40,301人が乳児院や児童養護施設に入所しています。(厚生労働省ホームページより https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09231.html)
―“親のエゴ”ですか。
それから、「子育てをしてみたい」「経験したい」という気持ちもありました。これも完全に自分のためですよね(笑)。出産と子育てを経験することで新たな視点が生まれるから、これまで感じてこなかった社会の課題が見えるかもしれないとも思ったんです。あとは純粋に、“夫や家族が子どもを望んでいた”ってこともあります。おばあちゃん世代だと「それが当たり前」と思っていたりしますしね。
ー確かに。
でも実際に子ども達を見ていると、こちらが気付かされることが多いです。正直、違う人と共同生活をするっていうことは、修行でしかない(笑)。夫も含め自分と全く違う人が3人もいる中で共同生活をすると、自分の器が試されます。“いかに多様性を受け入れていくか”が、家族として大切なんだろうなって思います。
―子育て中ではありますが、「こんなことしたい」ということはありますか?
うーん、全然思いつかないですね(笑)。でも、まだまだ色々なことをしたいです。旅が好きだから海外に行きたいし、見たことのない文化をもっと見たい。特に南米の文化はすごく好きなんだけど、まだ行ったことがないので行きたいな。これからは子ども達との生活になるので、“2人にどんな自分の姿を見せるか”ということは意識しています。何歳になっても挑戦し続けていく人生にしたいですね。例えば70〜80歳でカフェをオープンさせたり・・・そんな人になっていたいです。